



人工授精(AIH)は、タイミング法の次に選ばれる治療ステップとして広く知られています。
身体への負担が比較的少ない一方で、複数回繰り返しても妊娠に至らない場合、どこで体外受精(IVF)に切り替えるべきかは、多くの患者様にとって大きな悩みのひとつです。
今回は、人工授精から体外受精へ進む判断の目安や、切り替えのタイミングについて詳しくご紹介します。
人工授精(AIH)は、パートナーの精子を洗浄・濃縮し、排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入する方法です。
性交を介さずに精子を子宮内に届けることで、自然妊娠に近い形での受精をサポートします。
ただし、排卵・受精・着床はあくまで自然に任せるため、妊娠率は1回あたり5〜10%程度(※女性の年齢によって変化あり)とされ、複数回の試行が必要になります。
体外受精は、排卵誘発によって採卵を行い、体外で卵子と精子を受精させた後、受精卵(胚)を子宮に戻す治療です。
人工授精との主な違いは以下の通りです:
| 項目 | 人工授精(AIH) | 体外受精(IVF) |
|---|---|---|
| 受精の場 | 自然(体内) | 人工(体外) |
| 使用する卵子数 | 通常1個(自然排卵) | 複数個(排卵誘発あり) |
|
妊娠率(1回あたり) ※年齢によって変化あり |
約5〜10% | 約30〜40% |
| 身体負担 | 比較的軽い | 採卵などの処置あり |
人工授精を何回か行っても妊娠に至らない場合、以下のような状況では体外受精への切り替えを検討する段階といえます。
・35歳以上で、3〜4回人工授精(AIH)を行っても結果が出ない
・精液所見が不良(運動率・濃度など)
・卵管通過性に問題がある、もしくは年齢的に時間を優先したい
・排卵誘発をしても卵胞の発育が不安定
・黄体機能不全や内膜の状態が不十分な周期が続く
| 年齢 | 人工授精(AIH)の目安回数 | 切り替え推奨タイミング |
|---|---|---|
| 〜34歳 | 4〜6回 | 妊娠に至らなければIVFへ検討 |
| 35〜37歳 | 3〜4回 | 年齢・卵巣予備能により早期切り替えも可 |
| 38歳以上 | 2〜3回 | 早めに体外受精へ進む選択が推奨される場合あり |
※個別の体質やご希望をふまえ、医師と相談のうえで判断します。
「もう少しAIHを続けたいけれど、焦りもある」
「体外受精に進むのが不安」
…というお声も多く聞かれます。
そんなときは、以下の視点で整理してみるのもおすすめです:
・妊娠希望時期から逆算して、治療の選択肢と時間を見直す
・AMH(卵巣予備能)や年齢によって、採れる卵子数や治療効率を考慮する
・ご夫婦での気持ちのすり合わせ・医師との対話を通じて納得感を大切にする
「いつ体外受精に切り替えるか」は、医学的な側面だけでなく、ライフスタイル・気持ちの準備・経済面など多くの要素を含みます。迷うことは自然なことですので、一人で抱え込まずに、まずはご相談ください。
ファティリティクリニック東京では、高度な医療と、心に寄り添うサポート体制の両立を目指しています。以下の3つの方針に基づき、安心して治療に取り組んでいただける環境を整えています。
① 医療の安全管理
ISO9001の認証を取得し、医療安全管理室を設置。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠のリスク回避、災害時でも培養機器が安定稼働するようなシステムを導入しています。
② 高い医療水準の維持
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の監査合格施設として、精密な胚培養技術と専門スタッフによる治療体制を確立。単一胚移植による高い妊娠率の維持を目標に掲げています。
③ 心に寄り添う医療の実践
医師・看護師・胚培養士・心理カウンセラーが連携し、検査や治療の内容を一つひとつ丁寧にご説明します。不妊治療が「つらいもの」ではなく、「希望に向かう選択」として感じられるようサポートします。
今回は、人工授精から体外受精への切り替えタイミングについて解説しました。
AIHを何度か行っても妊娠に至らない場合、「そろそろ次のステップかも」と感じるタイミングがやってきます。
大切なのは、「焦らず、でも立ち止まりすぎず」、今の自分に合った方法を選ぶこと。
ファティリティクリニック東京では、治療成績だけでなく、患者様の心や生活も大切にした治療計画をご提案しています。
「いつ体外受精に切り替えるべきか」に迷ったときは、どうぞご相談ください。