



「タイミング法や人工授精ではうまくいかなかった」「年齢的に早めに進めたい」
そう感じている方にとって、**体外受精(IVF)**は妊娠に向けた有力な選択肢のひとつです。
しかし、「どんな治療なの?」「痛みは?」「ステップが複雑そう…」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、体外受精の基本的な仕組みと治療の流れ、当院での取り組みについてわかりやすく解説します。
体外受精とは、卵巣から採取した卵子と、採取した精子を体外で受精させたあと、受精卵(胚)を子宮に戻す治療です。
受精や胚の成長を管理できるため、自然妊娠が難しい場合でも妊娠の可能性を高められる方法です。
1983年に日本で初めて成功して以来、多くの妊娠・出産が体外受精を通して実現されています。
以下のようなケースでは、体外受精が適応となります:
・人工授精(AIH)を数回行っても妊娠に至らない場合
・卵管に問題がある(閉塞・癒着など)
・重度の男性不妊(精子数・運動率が極端に低い)
・年齢的に妊娠確率を高めたい場合(35歳以上)
・原因不明不妊で他の治療法で結果が出ていない
体外受精は、おおまかに以下のステップで進みます:
【STEP 1】 排卵誘発・卵胞モニタリング
ホルモン注射などで卵巣を刺激し、複数の卵胞を育てます。
→ 超音波やホルモン検査で発育状況を確認
【STEP 2】 採卵
卵胞が十分に育ったら、麻酔下で卵子を採取します(所要時間は15〜20分程度)
【STEP 3】 採精・受精
採取した精子と卵子を体外で受精させます。顕微授精(ICSI)を行う場合もあります。
【STEP 4】 胚培養(〜5日間)
受精卵の成長を観察し、最適なタイミングで胚を選定します(胚盤胞移植も含む)
【STEP 5】 胚移植(ET)
育った胚を1個もしくは2個、子宮に戻します。痛みはほとんどありません。
【STEP 6】 妊娠判定
移植から約10〜14日後に、血液検査などで妊娠判定を行います。
体外受精1周期にかかる期間は約3〜4週間です。
| ステージ | 通院目安 |
|---|---|
| 排卵誘発中 | 3回程度(卵胞モニタリング) |
| 採卵日 | 1日(来院) |
| 移植日 | 1日(来院) |
| 妊娠判定日 | 1日(採血) |
※体調や卵巣の反応によって通院頻度は変動します。
2022年より、体外受精は一定条件のもとで保険適用となりました。
【保険適用されるケースの例】
・治療開始時点で女性の年齢が43歳未満であること
・医師が医学的適応を認めた場合(原因不明不妊を含む)
【回数制限(保険診療)】
| 治療開始年齢 | 上限回数(胚移植) |
|---|---|
| 40歳未満 | 最大6回 |
| 40歳〜42歳 | 最大3回 |
※自費診療での高度な胚評価(タイムラプス・PGT-A等)や自由診療への切り替えも可能な場合もありますが、採卵から自由診療を行う必要があります。。詳しいことは当院にお問い合わせください。
ファティリティクリニック東京では、高度な医療と、心に寄り添うサポート体制の両立を目指しています。以下の3つの方針に基づき、安心して治療に取り組んでいただける環境を整えています。
① 医療の安全管理
ISO9001の認証を取得し、医療安全管理室を設置。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠のリスク回避、災害時でも培養機器が安定稼働するようなシステムを導入しています。
② 高い医療水準の維持
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の監査合格施設として、精密な胚培養技術と専門スタッフによる治療体制を確立。単一胚移植による高い妊娠率の維持を目標に掲げています。
③ 心に寄り添う医療の実践
医師・看護師・胚培養士・心理カウンセラーが連携し、検査や治療の内容を一つひとつ丁寧にご説明します。不妊治療が「つらいもの」ではなく、「希望に向かう選択」として感じられるようサポートします。
今回は、体外受精の基本的な仕組みと治療ステップについてご紹介しました。
体外受精は、妊娠に向けた選択肢の一つであり、「最後の手段」ではありません。
年齢や治療歴、ご夫婦の想いによって、「/最初の手段」として体外受精を検討することも自然な流れです。
ファティリティクリニック東京では、それぞれのご事情に合わせた治療計画をご提案し、妊娠という目標だけでなく「安心して妊活に取り組める環境」づくりをサポートしています。