



妊活を続けているなかで、自然妊娠が難しいと感じたとき、次の一手として検討されることが多いのが「人工授精(AIH)」です。
身体への負担が少なく、タイミング法の次の段階として取り入れられることが多いこの治療法ですが、名前の印象から「どこまで人工的なの?」「痛みはある?」など、疑問や不安を感じる方も少なくありません。
今回は、人工授精の仕組みや治療の流れ、当院での取り組みについてご紹介します。
人工授精(AIH:配偶者間人工授精)とは、排卵のタイミングに合わせて、パートナーの精子を洗浄・濃縮し、子宮内に直接注入する方法です。自然妊娠と同様に、卵管での受精・子宮内での着床を目指すため、身体への侵襲は比較的少ない治療です。
あくまで「受精のきっかけをサポートする」治療であり、体外受精とは異なり、体外での受精・培養などは行いません。
人工授精は、以下のようなケースに適しています:
・精子の数や運動率がやや低めだが、自然妊娠が完全に難しいわけではない
・タイミング法を数周期行っても妊娠に至らない
・性交障害(性交渉が困難な事情がある)
・頸管粘液が少なく、精子が子宮内に届きにくいと考えられる
・排卵日が特定できており、卵管が通っている
人工授精は月経周期に合わせて、以下のような流れで行われます。
超音波検査やホルモン検査を通じて、排卵日を予測します。
ご主人(パートナー)の精子を当日クリニック内または自宅で採取。
異物や運動性の低い精子を取り除き、元気な精子のみを選別して濃縮します。
細いカテーテルを用いて、選別した精子を子宮内に注入します(所要時間は数分で、痛みはほとんどありません)。
2週間後に月経が再開するかどうかで妊娠しているか判定します。
人工授精を行う前には、以下のような検査・準備を行います:
・フーナーテスト(性交後試験):精子が子宮頸管を通過できている状態か確認
・卵管造影検査または通水検査:卵管が詰まっていないか確認
・ホルモン検査/排卵の確認
・感染症検査(HIV、B型肝炎など)
・精液検査
すべての検査結果を踏まえたうえで、医師が人工授精が適しているかどうかを判断します。
人工授精の1周期あたりの妊娠率は およそ5〜10% 程度とされており、体外受精に比べてやや低めです。
そのため、以下が目安となります:
・4〜6周期行っても妊娠に至らない場合は、体外受精(IVF)へのステップアップを検討
・年齢や卵巣機能に応じて、より早期に次のステップへ進むこともあります
不妊治療においては、**「何周期、何歳までこの治療を続けるか」**を事前に共有しておくことが、治療の計画性と安心感につながります。
ファティリティクリニック東京では、高度な医療と、心に寄り添うサポート体制の両立を目指しています。以下の3つの方針に基づき、安心して治療に取り組んでいただける環境を整えています。
① 医療の安全管理
ISO9001の認証を取得し、医療安全管理室を設置。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠のリスク回避、災害時でも培養機器が安定稼働するようなシステムを導入しています。
② 高い医療水準の維持
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の監査合格施設として、精密な胚培養技術と専門スタッフによる治療体制を確立。単一胚移植による高い妊娠率の維持を目標に掲げています。
③ 心に寄り添う医療の実践
医師・看護師・胚培養士・心理カウンセラーが連携し、検査や治療の内容を一つひとつ丁寧にご説明します。不妊治療が「つらいもの」ではなく、「希望に向かう選択」として感じられるようサポートします。
今回は、「人工授精(AIH)」の基本的な仕組みや治療の流れ、適応の目安についてご紹介しました。
身体への負担が比較的少ないステップとして、自然妊娠が難しい場合の選択肢となる人工授精ですが、その適応には個別性があります。
「いつステップアップすべきか」「今の自分に合っているのか」と迷われる方も、どうぞ一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。
ファティリティクリニック東京では、安心して治療を進められるよう、丁寧な診療とサポートをお約束します。