



体外受精を繰り返しても妊娠に至らない、あるいは妊娠しても流産を繰り返してしまう――。
こうした悩みを抱える方に対し、近年注目されているのが「PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)」です。
PGT-Aは、胚移植前に受精卵の染色体数を調べる検査であり、流産リスクの低減や妊娠率向上を目的として行われます。
一方で、すべての方に必要な検査ではなく、適応や限界について正しく理解することも重要です。
今回は、PGT-Aとはどのような検査か、どのようなケースで検討されるのか、科学的根拠も踏まえて解説します。
PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)は、体外受精で得られた受精卵(胚)の染色体数を調べる検査です。
通常、人の細胞には46本の染色体がありますが、胚に染色体の過不足(異数性)があると、
・着床しない
・流産につながる
・胎児発育が継続しない
といった可能性が高くなるとされています。
PGT-Aでは、胚盤胞まで培養した胚の一部細胞を採取し、染色体数を解析します。
その結果をもとに、染色体数が正常と考えられる胚を選択して移植します。
流産の原因の多くは、受精卵側の染色体異常によるものとされています。
特に加齢に伴い卵子の染色体異常率は上昇し、40代では高い割合で異数性胚が認められます。
そのため、
・良好胚を移植しても妊娠しない
・妊娠しても初期流産を繰り返す
といった背景に、胚の染色体異常が関与しているケースがあります。
PGT-Aは、こうした染色体異常のある胚を事前に把握し、移植胚を選択するための検査として活用されています。
PGT-Aは、以下のようなケースで検討されます。
・流産を繰り返している(反復流産)
・良好胚を移植しても妊娠に至らない
・高年齢で体外受精を行っている
・染色体異常による妊娠不成立リスクを下げたい
・限られた移植回数の中で妊娠率を高めたい
特に、反復流産や反復着床不全では、胚の染色体異常が関与している可能性があるため、PGT-Aが選択肢となることがあります。
PGT-Aは、主に以下の流れで行われます。
・排卵誘発・採卵
・体外受精または顕微授精
・胚盤胞まで培養
・胚の一部細胞を採取(生検)
・遺伝学的解析
・結果を踏まえて胚移植を計画
検査を行うため、基本的には胚を一度凍結保存し、後周期で移植を行います。
また、日本ではPGT-Aは誰でも自由に受けられる検査ではなく、一定の適応条件や施設基準のもとで実施されています。
PGT-Aには、以下のようなメリットがあります。
・染色体異常胚の移植を回避できる可能性がある
・流産率低下が期待される
・妊娠成立までの期間短縮につながる場合がある
一方で、注意点もあります。
・すべての流産を防げるわけではない
・正常胚でも妊娠不成立となることがある
・胚生検による影響がゼロではない
・基本的には治療が保険適用外となる
そのため、「PGT-Aを行えば必ず妊娠できる」というものではなく、患者さまの背景や目的に応じた適切な判断が必要です。
ファティリティクリニック東京では、高度な医療と、心に寄り添うサポート体制の両立を目指しています。
1.医療の安全管理: ISO9001の認証を取得し、医療安全管理室を設置。胚の取り違え防止システムや、培養環境の24時間モニタリングなど、世界基準の安全管理下で大切に胚を守ります。
2.高い医療水準の維持: JISARTの監査合格施設として、胚盤胞移植やシート(SEET)法、ヒアルロン酸含有培養液の使用など、エビデンスに基づいた最新の着床率向上策をご提案します。
3.心に寄り添う医療の実践: 移植前後の緊張や判定待ちの不安は非常に大きいものです。医師や看護師だけでなくカウンセラーも在籍しており、一人ひとりの心のケアを大切にしています。
今回は「PGT-A(着床前検査)」について、その適応や役割、流産との関係について解説しました。
PGT-Aは、染色体異常による流産や着床不全のリスク低減を目的とした検査であり、特に反復流産や高年齢不妊において重要な選択肢となる場合があります。
一方で、すべての方に必要な検査ではなく、治療歴や年齢、胚の状態などを総合的に判断したうえで検討することが大切です。
当院では、患者さま一人ひとりの背景や治療歴に合わせ、科学的根拠に基づいた治療選択をご提案しています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。