



体外受精において、採卵と並んで非常に重要なステップが「胚移植」です。 大切に育てた受精卵(胚)を子宮に戻す際、「いつ、どのような状態で行うのがベストなのか」と不安や期待を抱かれる方は多いでしょう。
胚移植の成功は、胚自体の質はもちろん、受け入れ側である子宮内膜の環境(着床の窓)を整えるスケジュール管理が鍵を握ります。
今回は、胚移植の主な流れや種類、そして成功率を高めるために知っておきたいポイントについて解説します。
・移植スケジュールの種類(自然周期 vs ホルモン補充周期)
胚移植(ET:Embryo Transfer)は、体外受精または顕微授精によって受精し、数日間培養した胚を細いカテーテルで子宮内へ戻す処置のことです。
この処置自体は通常、麻酔を必要とせず短時間で終了しますが、着床・妊娠成立のためには「胚の発育」と「子宮内膜の受容期」を正確に同期させることが極めて重要です。
胚移植には大きく分けて2つの方法があります。
・新鮮胚移植: 採卵した同じ周期に、そのまま胚を戻す方法です。治療期間を短縮できるメリットがあります。
・凍結融解胚移植: 一度胚を凍結保存し、別の周期に子宮内膜の状態を整えてから移植する方法です。現在、日本の不妊治療では主流となっており、採卵による卵巣の腫れ(OHSS)の影響を避け、最適な内膜状態で移植できるため妊娠率が高い傾向にあります。
特に「凍結融解胚移植」を行う場合、内膜を整える方法が2つあります。
1.自然周期: 自身の排卵に合わせて移植日を決定します。薬の使用を最小限に抑えられますが、排卵日の特定のために頻繁な通院が必要になる場合があります。
2.ホルモン補充周期: エストロゲン製剤や黄体ホルモン剤を使い、人工的に内膜を作ります。移植日をあらかじめ設定しやすく、予定が立てやすいのが特徴です。
当院での一般的な移植の流れは以下の通りです。
1.胚の融解と状態確認: 凍結胚を使用する場合、移植の数時間前に融解し、胚の回復状態を培養士が確認します。
2.カテーテルの挿入: 超音波(エコー)で子宮内を確認しながら、非常に細く柔らかいカテーテルを挿入します。
3.移植: ベストな位置に胚を置き、終了です。処置は5〜10分程度で、痛みはほとんどありません。
4.終了後: 短い安静時間の後、当日の注意事項を説明してご帰宅となります。
成功率を高めるポイント
・子宮内膜の厚さ: 一般的に7-8mm以上の厚さが望ましいとされています。
・着床の窓(Implantation Window): 内膜が胚を受け入れる期間は限られています。ホルモン値に基づいた的確な時期決定が重要です。
・オプション検査の検討: 何度か移植しても結果が出ない場合、ERA(着床の窓の検査)や子宮内フローラ検査などが有効な場合があります。
注意点
・安静の考え方: 移植直後に過度な安静は必要ありませんが、激しい運動や長風呂などは控えるよう指導されることが一般的です。
・薬の継続: ホルモン補充周期の場合、判定日まで(妊娠後はそれ以降も)薬を忘れずに服用することが不可欠です。
ファティリティクリニック東京では、高度な医療と、心に寄り添うサポート体制の両立を目指しています。
1.医療の安全管理: ISO9001の認証を取得し、医療安全管理室を設置。胚の取り違え防止システムや、培養環境の24時間モニタリングなど、世界基準の安全管理下で大切に胚を守ります。
2.高い医療水準の維持: JISARTの監査合格施設として、胚盤胞移植やシート(SEET)法、ヒアルロン酸含有培養液の使用など、エビデンスに基づいた最新の着床率向上策をご提案します。
3.心に寄り添う医療の実践: 移植前後の緊張や判定待ちの不安は非常に大きいものです。医師や看護師だけでなくカウンセラーも在籍しており、一人ひとりの心のケアを大切にしています。
今回は「胚移植のスケジュールと成功率を高めるポイント」について解説しました。
胚移植は不妊治療の「総仕上げ」とも言える重要なステップです。当院では、患者さまのライフスタイルや卵巣・子宮の状態を総合的に判断し、最も妊娠の可能性が高いオーダーメイドなスケジュールをご提案しています。
不安なことや気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。