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Fertility Clinic Tokyo
当院の不妊治療

当院の不妊治療

男性不妊治療

男性因子不妊症は増加している?

男性因子不妊が、年々増加しているとの報告があります。デンマークのグループは、1938年から1990年の間に、精子数が1億1100万/ccから 6600万/㏄に減少したと述べています。その大きな理由に環境エストロゲンの関与が示唆されています。 ダイオキシン、PCB、DDTなどがその原因として挙げられています。つまり胎児期に胎内で母体の摂取した環境エストロゲン様物質が精巣における造精機能を抑えてしまい、結果的に小児期から精子が減少してしまうのす。また社会環境やストレス、活性酸素が精子減少の誘因になっているとも考えられます。

ただし、一方で精子の性質は悪くなっていないという報告も多くあります。本当に精子が悪くなっているかどうかについては、もう少し検討が必要と思われます。

精子形成と受精

男性の精子は精巣で作られます。精子を形成するのに必要なホルモンは女性と同様に視床下部-下垂体にによる制御を受けます。下垂体から分泌されたLHの刺激により精巣のライディッヒ細胞という組織からテストステロンが産生されます。

精巣にはもうひとつセルトリ細胞という組織があり、精巣内環境を調整する役割を持っています。精子を作る基の細胞は精粗細胞といい、減数分裂を繰り返しながら精子が形成されます。精巣で作られた精子は精巣上体に貯えられ、最終的な成熟をを起こした後、射精されます。射精された精液には精子の他に精子を保護する分泌液が含まれていますが、精子だけが子宮内へ入り込み、それ以外は膣内へ留まります。
精子は頸管粘液や卵管上皮細胞により受精に必要なエネルギーを獲得します。
エネルギーを獲た精子は、卵子の殻(透明帯)を突き破って卵子内に侵入するために、さらに動きが活発になるとともにちょうど刀の鞘を抜くように精子の先端の膜がはずれて卵子に到達できる状態になります。この現象を先体反応とといいます。

精子が侵入すると卵子はそれ以上の精子の侵入(多精子受精)を防ぐために卵子表面から表層顆粒という物質を放出しこれが卵子の殻を硬くして、さらなる精子の侵入を防ぎます。卵子内に入った精子は精子核(雄性前核)を形成し、卵子は雌性前核を形成します。これが受精現象です。受精卵はその後分裂を繰り返し、子宮内膜に着床します。

男性因子不妊症の病因

射精された精子のうち卵管に到達するものはおおよそ100万分の1にすぎず、精子が正常でも卵子周囲には100以下の精子しか到達しません。そのため精子の数が少なかったり運動性に乏しい場合は受精の場である卵管に到達する精子が減り、妊娠しない原因となります。

また、前章で述べたように精子が卵子に侵入するためには精子頭部が先体反応という変化を起こす必要がありますが、奇形精子が多い場合にはこの反応を正しく起こすことができずに受精が障害されることがあります。さらに卵子の側にも受精に必要な条件があります。 前述のように成熟精子は精子を一匹のみ受け入れ、多精子受精を防ぐ仕組みを有しています。
しかしながら未熟卵子や過熟卵子、異常卵子ではこのメカニズムが正常に作動しなかったり卵子を取り巻く殻(透明体)が正常でないために多精子受精をおこしたり、逆に精子が全く侵入できないことがあります。

では精子異常を起こす原因にはどの様なものがあるのでしょうか。男性不妊の原因には精子を作る機能が障害される疾患(造精機能障害)、精子を作る機能は正常で精子の輸送が障害される疾患、その他性交、勃起障害などがありますが、そのほとんどは造精機能障害です。
そのうち85%は明らかな病因を認めない精子異常(特発性造精機能障害)であり、その他の原因としては精索静脈瘤、精巣を刺激するホルモンの異常、泌尿器系の感染症や炎症、染色体異常などがあります。
精索静脈瘤は精巣からの静脈が障害され、精巣環境を悪化させる疾患で、左側に多発します。
精索静脈瘤が造精機能を悪化させる主な原因として血液うっ帯による陰のう内温度上昇が考えられます。

男性因子不妊症の検査

精液検査

ご主人の精液を採取し、精子濃度、運動率、奇形率などを調べます。1cc中に2000万以上、運動率50%以上、正常形態率70%以上であれば正常とされています。 精子を採取する場合、施設に採精室があればそこで採取するのが良いと思います。採精室が無いか、ご主人が来院できない場合には2時間以内であれば自宅採精も可能です。採精前はおおよそ5~7日間禁欲し、体調の不良な日、他の病気で治療しているときは避けて検査を受けて下さい。
また、精液所見は変動がありますので2〜3回検査を受けた方が正確な所見が判ります。

男性に対するその他の検査

前章で述べたように精子が不良になる原因はほとんど特発性造精機能低下、つまり明らかな原因を認めない精子異常ですが、検査により原因が明らかとなるものもあります。そのためにご主人に対する泌尿器科医による診察が必要です。視診、聴診、睾丸触診などを行い精機の異常、他疾患の有無を調べるとともに血中男性ホルモン、下垂体ホルモンを測定します。

触診で精索静脈瘤が疑われる場合には超音波検査や血管造影を行います。精子数がきわめて少ないか精液中に全く精子を全く認めない場合は精巣生検をして精巣でどのくらい精子が作られているかを調べます(精巣組織検査)。

精巣精子を用いた顕微授精法

精子は睾丸で作られてから精巣上体、精路で成熟した後に射精されます。通常の体外受精で受精が可能なのは成熟した射出精子のみです。卵子に侵入するためには精子が充分に成熟している必要があるので睾丸精子や精巣上体精子を用いても受精は困難でした。

しかし顕微授精法(ICSI)の登場によって、このような未熟精子でも受精、妊娠が可能になりました。この技術の適応となるのは第一に精子を作る機能が正常であるにもかかわらず精子を運ぶ管に閉塞があるために精子が排出されない場合ですが(これを閉塞性無精子症といいます)、睾丸における造精機能が著しく低下して射出精子が得られない場合(造精機能障害)でも精子が採取できる場合があります。精子を採取するために、ご主人の陰嚢に麻酔下で小切開を加え、睾丸精子を取り出します。睾丸精子を用いる方法をTESE法、精巣上体精子を用いる方法をMESA法といいます。

当院では泌尿器科連携施設で、精子を採取しております。精子採取は泌尿器科連携施設で、採取した組織を当院に運搬し、凍結保存します。精子が得られる場合は1回の採取で5-10回の治療が可能です。

男性因子不妊症と遺伝子異常

近年の遺伝子研究の進歩により精子異常の原因の一部がY染色体上の特定部分の欠損によることが判明しました。この遺伝子異常をAZF(Azospermic-factor)と呼びますが無精子症患者の約7%にAZFを認めることが知られています。

このAZFが無精子症だけでなく高度乏精子症にも認めることが明らかになってきました。このことは顕微授精などなどの治療法で妊娠に至った場合、できた子が男の子だと、このAZFを引き継ぎ、同様の精子異常を起こす可能性を残すことになります。
そのほかにも染色体異常と精子異常が関連する場合があるので、精子が極めて不良な場合には遺伝的検索を行う必要があります。染色体検査、AZFスクリーニング検査は血液検査によって行うことができます。

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