



「生理周期が毎月バラバラ」「排卵日を予測しているのに、なかなか妊娠しない」
こうした悩みの背景には、排卵障害が関係していることがあります。
妊娠するためには、卵巣で育った卵胞から卵子が排出される「排卵」が必要です。しかし、ホルモンバランスの変化や卵巣機能の低下などによって、卵胞が十分に育たなかったり、排卵が起こらなかったりする場合があります。
排卵障害といっても、その原因や程度はさまざまです。月経不順があっても排卵している方がいる一方、月経のような出血があっても排卵していないケースもあります。
今回は、排卵障害の主な原因や症状、検査による調べ方、妊娠を目指すための治療の進め方について解説します。
排卵障害とは、卵胞の発育や排卵の過程に何らかの問題が生じ、排卵が不規則になったり、起こらなくなったりする状態です。
通常、卵巣では脳の下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)などの働きによって卵胞が成長します。その後、LH(黄体形成ホルモン)の急激な上昇をきっかけに排卵が起こります。
この一連の過程がうまく進まないと、卵子と精子が出会う機会が少なくなり、妊娠しにくさにつながります。
ただし、排卵障害があるからといって、必ずしも妊娠できないわけではありません。
原因に応じた治療によって排卵が回復したり、薬剤を使って排卵を促したりすることで、妊娠を目指せる場合があります。
重要なのは、単に排卵の有無を確認するだけでなく、なぜ排卵がうまくいかないのかを調べることです。
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排卵障害があるかを疑うきっかけとして多いのが、月経周期の乱れです。
例えば、月経が数か月来ない、周期が極端に長い、毎月の周期が大きく変動するといった場合には、排卵が不規則になっている可能性があります。
ただし、月経周期だけで排卵障害を確定することはできません。
卵巣内に多くの小さな卵胞がみられ、排卵が起こりにくくなる疾患です。排卵障害の代表的な原因の一つですが、PCOSの方すべてが無排卵というわけではありません。
視床下部・下垂体の機能異常
過度なダイエットや体重減少、激しい運動、心理的・身体的ストレスなどによって、排卵を調節するホルモンの分泌が低下することがあります。
高プロラクチン血症
プロラクチンは主に授乳に関わるホルモンですが、妊娠・授乳期以外に高値となると、排卵が抑制される場合があります。薬剤や下垂体の病気などが原因となることもあります。
甲状腺機能の異常
甲状腺ホルモンの分泌が過剰、あるいは不足している場合にも、月経周期や排卵に影響することがあります。
卵巣機能の低下
加齢に伴う変化のほか、40歳未満で卵巣機能が低下する早発卵巣不全(POI)なども、排卵障害の原因となります。
このように、排卵障害は卵巣だけの問題とは限りません。脳からのホルモン分泌や全身の健康状態も関係するため、原因を見極めることが治療の第一歩となります。
「毎月生理が来ているから、排卵もしているはず」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、月経のような出血があっても、排卵を伴っていない場合があります。排卵の状態を確認するには、複数の情報を組み合わせて評価します。
超音波検査
卵巣内の卵胞の大きさや発育状況を確認します。
月経周期に合わせて検査することで、卵胞が順調に成長しているか、排卵が近づいているかなどを判断する手がかりになります。
ホルモン検査
採血によってFSH、LH、エストラジオール、プロラクチン、TSHなどを測定し、排卵に関わるホルモンの状態を調べます。
また、排卵後の適切な時期にプロゲステロン(黄体ホルモン)を測定することで、排卵が起こったかどうかを推測できます。
基礎体温や排卵検査薬
自宅で確認できる方法として、基礎体温の記録や排卵検査薬があります。
ただし、基礎体温だけでは排卵の有無を確実に判断できず、排卵検査薬もLHの上昇を捉えるもので、実際に排卵したことを証明する検査ではありません。
特にPCOSではLHが高い状態が続くことがあり、排卵検査薬の結果が分かりにくくなる場合もあるので注意が必要です。
排卵障害が見つかった場合、必ずしもすぐに排卵誘発剤を使用するわけではありません。
例えば、急激な体重減少や過度な運動が関係している場合には、栄養状態や生活習慣を見直すことが治療の基本となります。甲状腺機能の異常や高プロラクチン血症が原因であれば、その疾患に対する治療を優先することもあります。
一方、排卵誘発が必要と判断された場合には、レトロゾールやクロミフェンなどの内服薬、あるいはゴナドトロピン製剤などの注射薬が使用されます。
薬剤の選択は排卵障害の原因によって異なり、すべての方に同じ方法が適しているわけではありません。
また、排卵誘発では複数の卵胞が同時に発育することがあり、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などのリスクにも注意が必要です。
そのため、治療中は超音波検査などで卵胞の発育を確認しながら、薬剤の使用量や排卵のタイミングを判断します。
排卵を起こすことだけを目標にするのではなく、安全に妊娠を目指せる状態を整えることが治療では重要になります。
排卵誘発によって排卵が確認できても、すぐに妊娠につながるとは限りません。
妊娠の成立には、排卵以外にも卵管の通過性、精子の状態、受精や胚発育など、さまざまな要素が関係しているためです。
排卵が起こるようになったにもかかわらず妊娠に至らない場合には、治療回数だけでなく、これまでの検査結果を改めて確認します。
例えば、卵管に問題がある場合や男性不妊が認められる場合には、排卵誘発とタイミング法を繰り返すだけでは妊娠が難しいことがあります。
また、女性の年齢や不妊期間によっては、人工授精や体外受精へのステップアップを早めに検討することもあります。
ここで大切なのは、「排卵障害があるから、まず排卵誘発を何回も続ける」と一律に考えないことです。
排卵障害の原因が明らかになり、排卵が回復したとしても、それだけで不妊の原因がすべて解消されたとは限りません。
治療の結果を一つひとつ振り返り、必要に応じて方針を見直すことが、妊娠に向けた次の一歩につながります。
ファティリティクリニック東京では、高度な医療と、心に寄り添うサポート体制の両立を目指しています。
① 医療の安全管理 ISO9001の認証を取得し、医療安全管理室を設置。排卵障害の治療(特にPCOS治療)で懸念されるOHSSのリスクを徹底的に回避するため、厳密なモニタリングと最新の知見に基づいた誘発プロトコル(お薬の量や種類の微調整)を採用しています。
② 高い医療水準の維持 JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の監査合格施設として、専門スタッフが精密な治療体制を確立。「なかなか卵が育たない」という難しい症例であっても、オーダーメイドな刺激計画と、将来のステップアップも見据えた最適な凍結・培養計画を一貫してご提案します。
③ 心に寄り添う医療の実践 「なかなか排卵しない」「薬を使い続けて大丈夫?」という不安は大きいものです。当院では医師・看護師だけでなく、心理カウンセラーも在籍しており、治療の過程で生じるストレスや排卵への焦りについて、いつでも相談できる環境を整えています。
今回は、排卵障害の主な原因や症状、検査方法、妊娠を目指すための不妊治療の進め方について解説しました。
排卵障害は妊娠しにくくなる原因の一つですが、その背景にはPCOSやホルモン分泌の異常、卵巣機能の低下など、さまざまな要因があります。原因によって適切な治療方法も異なるため、まずは排卵の状態を正しく把握することが重要です。
また、排卵が確認できても妊娠に至らない場合には、卵管や精子の状態など、ほかの不妊原因も含めて治療方針を見直す必要があります。
ファティリティクリニック東京では、患者さま一人ひとりの検査結果やこれまでの治療経過を踏まえ、妊娠に向けた治療方針をご提案しています。月経不順や排卵の状態について気になることがある方は、診察の際にご相談ください。