Fertility Clinic Tokyo
当院の不妊治療

当院の不妊治療

不妊症の原因と検査

不妊検査をおこなって、原因が明らかとなればそれに対する治療をおこないます。

不妊の原因には次のようなものがありますが、実際には検査をおこなっても明らかな原因が認められないことも少なくありません。以下に不妊の原因となりうる問題を記します。

卵子の質に問題がある

ひとは決められた数の卵子を持って生まれます。その数は初経時におよそ10万個といわれています。これが毎月200個ずつ費やされ、無くなったときが閉経です。年齢が高くなったり、うまれつき卵子の数が少なかったり、あるいは卵子が費やされる速度が速かったり(これには免疫異常がかかわっているといわれています)する場合には良い卵子が少ないことがあります。このような場FSHというホルモン(正常では10mIU/ml以下)が高くなり、これが20mIU/mlを超えると妊娠は難しくなります。このような場合でも月経周期が正常な場合も多く、体外受精を行って初めて明らかになる問題といえましょう。

排卵障害(卵子はあってもそれを排卵させる命令がうまく伝わらない場合)

卵子の成熟と排卵は脳幹部にある視床下部および下垂体という組織から分泌されるホルモンによって調節されます。これらのホルモンの分泌が不良であれば排卵が抑制されます。視床下部はとくに体重減少、ダイエットやストレスなどの影響を受けやすい部位で、 一度機能が低下しても再び回復することがある比較的軽症の排卵障害ですが、下垂体機能は一度低下するとなかなか回復せず、頑固な排卵障害といえましょう。両者は必ずしも別々に機能が低下するわけではなく、連動して無排卵の原因となることがあります。一般的に下垂体の機能が低下している場合にはHMGという注射で卵子を成熟させる治療を必要とします。また、視床下部の異常であればクロミッド、セロフェンといった内服薬を使用します。これらの治療を排卵誘発療法といいます。
これについては別紙で詳しく説明します。また、卵巣の表面が硬くなって卵子が外に出にくくなり、排卵できないことがあり、これを多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といいます。PCOSでは排卵誘発剤に過剰反応を示すことが多く、妊娠しても多胎や卵巣の腫大を起こすことがあります。

卵子が外に出にくい

卵子は卵胞内で成熟し、排卵します。ところが卵子が成熟しても卵胞が破れずに卵子が外に出られないことがあり、これを黄体化非破裂症候群(Lutenized unruptured follicle,LUF)と呼びます。この場合基礎体温は2相性を示すので注意深く超音波検査を行わないと見逃してしまいます。正常婦人でも5〜10%の周期に起こるといわれていますが子宮内膜症や多嚢胞性卵巣の場合その頻度が高くなるために不妊の原因になるといわれています。

卵管が卵子をうまく運べない

卵子は排卵されると卵管の先端にあるイソギンチャク様の部分(卵管采)により捕らえられます。しかし卵管采に癒着がある場合、卵子をうまく捕らえることが出来ません。
また卵管の内側には卵管上皮細胞という細胞がありこの細胞がうねりながら卵子、受精卵を輸送します。卵管が閉鎖している場合や卵管が通っていても炎症や卵管に水がたまっている場合、あるいは卵管上皮細胞の動きが悪い場合は受精卵が子宮にたどり着くことが出来ません。卵管の問題に対しては腹腔鏡や手術で卵管を修復する方法と体外受精があります。どちらを選択するかについては卵管の状態や年齢、他の不妊因子の合併などを考慮して判断します。

頚管粘液分泌不全、精子−頸管粘液適合異常

射精された精子は子宮の出口にあるねばねばした粘液(頸管粘液)を通過して子宮内へ到達します。この際精子は頸管粘液中に数時間とどまり、受精に必要な機能的変化を与えられます。この粘液が少ないと精子は子宮内に侵入することができません。
また、女性が精子に対する免疫異常(不動化抗体)を有する場合精子の動きを悪くして受精を妨げます。これらの問題についてはフーナーテストで検査をします。フーナーテスト異常に対してはまず人工授精をおこないますが、それで妊娠しない場合には体外受精を考慮します。抗精子抗体が陽性の場合は最初から体外受精が必要です。

精子に問題がある(男性因子)

射精された精子のうち卵子の近くに到達するものは百万分の一にすぎず、たとえ精子が正常でも卵子の周囲には100以下の精子しか到達しません。そのため精子の数が少なかったり、運動性に乏しい場合には不妊の原因となります。
また奇形精子が多い場合にも受精は困難になります。精液検査の結果は体調や禁欲期間に影響を受けることがあるので、結果が悪くても1回の検査で判断せず、2〜3回調べる必要があります。精液検査の結果が良くない場合、ご主人は泌尿器科医の診察が必要です。ホルモンの値、炎症の有無、精索静脈瘤の有無などを調べて、男性側の治療による精子所見の改善が可能かどうかを調べます。当院では隔週月曜日の午後7時半から男性不妊外来をおこなっています。精子の改善が得られない場合には人工授精、体外受精、顕微授精などの治療を行います。

着床の障害

受精卵(胚)は分割を繰り返しながら子宮内膜に接着しさらに増殖します。この現象を着床と呼びます。

着床が妨げられる原因として

  • 子宮に筋腫、腺筋症やポリープなどの病変がある場合
  • 黄体ホルモンの分泌が不良であったり、子宮内膜の肥厚が充分でないために卵子を受け入れることが出来ない(黄体機能不全)
  • 胚が良くないために育たない、あるいは胚を包む透明帯が厚いために卵子が外に出られない。(内膜に接着できない)
  • 免疫的な異常のために子宮が胚を受け入れない

などの理由が考えられます。着床は外から見えない現象なので、検査治療が難しい場合が多いのですが、当院では子宮内の免疫因子を測定する方法で着床障害の検査を行っています。(別紙参照)

子宮内膜症と不妊

子宮内膜はエストロゲンの影響で厚くなり、妊娠が成立しないと子宮から剥がれて月経として排出されますが、月経血は卵管を通じてお腹の中にも貯留します。
その中に含まれている子宮内膜組織が何らかの原因で子宮、卵巣の表面あるいは内部に入り込むことがあります。その子宮内膜組織が月経時に出血を繰り返し、その結果骨盤内に癒着を起こす病気が子宮内膜症です。子宮内膜症が卵巣内に発生するとチョコレート嚢腫といわれる嚢胞を作り、子宮筋層内に発生した場合は子宮全体が膨れ子宮腺筋症と呼ばれる病気となります。

子宮内膜症が不妊を起こす機序として

  • 子宮内膜症による炎症のために生ずる腹水が免疫異常を起こし受精や着床を阻害する
  • 子宮内膜症が引き起こす癒着や卵管障害により、卵管の精子あるいは卵子の輸送障害を引き起こす

などが考えられ、とくに1.による不妊は内膜症による進行度、重症度に係わりなくおこります。

つまり子宮内膜症は進行が軽度であっても不妊の原因になることがあるのです。子宮内膜症の症状は月経痛や腹痛、腰痛、セックスの時の痛みなどで、病気の進行と共に症状は憎悪します。子宮内膜症に対する不妊治療として有効なのは腹腔鏡による手術と体外受精だけです。ピルやスプレキュアー、リュープリンといった薬で生理をとめる偽閉経療法は症状の改善には有効ですが不妊治療としての効果はありません。

クラミジア感染症

性行為により感染する病気をSTD:Sexually Transmitted Diseaseと呼びます。以前は梅毒、淋病などが代表的なSTDでしたが、今ではクラミジア、ヘルペス、トリコモナスなどの病気が増えています。なかでもクラミジアは不妊や流産の原因になりやすく注意が必要です。
この病気はクラミジアトラコマティスという菌によって引き起こされる感染症で男性には尿道の炎症を起こします。女性では子宮の出口付近の炎症(頸管炎)を起こし、水っぽいおりものが増えます。さらに症状が進むと卵管や骨盤内に癒着を起こし、不妊の原因になります。体内に菌が存在する場合には抗菌剤(クラリス、ジスロマックス)の内服治療が必要です。クラミジアによる卵管障害は手術による改善が難しいことが多く、体外受精が必要になることが多くあります。

機能性不妊症(原因不明不妊症)

一連の不妊検査で、明らかな不妊原因が見つからないのに妊娠しない場合を、機能性不妊あるいは原因不明不妊と呼びます。機能性不妊は不妊症の三分の一をしめるといわれます。原因がわからない分、治療方針を決めるのも難しい場合があります。この場合は治療効果を考慮して、タイミング法、排卵誘発法、人工受精などの治療を行い、それでも妊娠しない場合には体外受精をおこないます。

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