



妊活や不妊治療について調べていると、「卵子の質を上げるサプリメント」「妊娠しやすい体づくりに必要な栄養素」といった情報を目にすることも多いのではないでしょうか。
特に、年齢やAMHの値などをきっかけに、「少しでも卵子の状態を良くしたい」と考え、サプリメントを取り入れる方も少なくありません。
しかし、サプリメントを摂取すれば卵子の質そのものが必ず向上し、妊娠率が上がると断言できるわけではありません。
今回は、「サプリメントは本当に卵子の質を上げるのか?」という患者さまからよくいただく疑問について、卵子の質に関わる要因や、妊活中の栄養との向き合い方を含めて解説します。
不妊治療では「卵子の質」という言葉がよく使われますが、実際には一つの検査値だけで評価できるものではありません。
卵子が正常に成熟し、受精した後に胚として発育していく力には、さまざまな要因が関係しています。特に大きな影響を与えるのが女性の年齢です。
年齢とともに卵子の染色体異常が増加することが知られており、それに伴って受精後に胚の発育が停止したり、着床しなかったり、流産につながったりする可能性も高くなります。
また、AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣に残されている卵子の数の目安となる検査ですが、卵子の「質」を直接示すものではありません。
そのため、「卵子の質」を考える際には、年齢や卵巣機能、これまでの治療経過などを総合的に捉える必要があります。
「このサプリメントを飲めば卵子の質が上がる」という明確な方法は、現時点では確立されていません。
一方で、栄養状態や生活習慣は身体全体の健康状態に関係しており、不足している栄養素を適切に補うことは、妊娠に向けた身体の環境を整えるうえで大切です。
また、特定の栄養素や成分については、卵巣機能や酸化ストレスなどとの関連が研究されています。しかし、研究結果があることと、「摂取すれば誰でも卵子の質や妊娠率が向上する」ということは同じではありません。
サプリメントはあくまで食生活を補助するものとして捉え、必要性を見極めながら活用することが大切です。
妊活中には、さまざまな栄養素や成分が注目されています。
葉酸
妊娠前からの摂取が推奨されている代表的な栄養素です。胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減との関連が明らかになっており、妊娠を計画している女性には適切な摂取が推奨されています。
ビタミンD
骨の健康だけでなく、生殖機能との関連についても研究されています。不足している場合には、食事や必要に応じた補充について検討されることがあります。
鉄
月経のある女性では不足しやすい栄養素の一つです。鉄が不足すると貧血につながるため、妊娠前から適切な栄養状態を整えておくことが大切です。
コエンザイムQ10
細胞のエネルギー産生や抗酸化作用に関わる成分で、卵巣機能や卵子との関連について研究されています。ただし、妊娠率や出生率を確実に高める効果が確立されているわけではありません。
大切なのは、話題になっている成分を自己判断で多く摂取することではなく、ご自身に不足している栄養素があるかを考えることです。
サプリメントは手軽に購入できるため、「身体に良いものだから多く摂っても問題ない」と考えてしまいがちですが、過剰摂取には注意が必要です。
複数のサプリメントを併用すると、同じ成分を重複して摂取してしまうことがあります。また、治療中に使用している薬との組み合わせや、持病などによっては注意が必要な成分もあります。
妊活中や不妊治療中にサプリメントを使用する場合は、
・摂取量を確認する
・複数製品の成分の重複に注意する
・治療中の薬がある場合は医師に伝える
・「妊娠率が上がる」などの情報だけで判断しない
といった点を意識しましょう。
サプリメントだけに頼るのではなく、妊娠に向けた身体の状態を整えるためには、日々の生活習慣も大切です。
基本となるのは、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、禁煙、過度な飲酒を避けることなどです。
一方で、「これを食べれば卵子が若返る」「この生活をすれば卵子の質が必ず良くなる」といった方法はありません。特に加齢による卵子の染色体変化を、食事やサプリメントによって元に戻すことはできません。
だからこそ、不妊治療では生活習慣の改善だけに時間をかけるのではなく、年齢や卵巣機能などを踏まえて、必要な検査や治療を適切なタイミングで進めることも重要です。
ファティリティクリニック東京では、高度な医療と、心に寄り添うサポート体制の両立を目指しています。
① 医療の安全管理 ISO9001の認証を取得し、医療安全管理室を設置。すべての採卵・培養プロセスにおいて厳格な品質管理を徹底し、貴重な卵子1粒ひとつを安全・確実に扱う体制を整えています。
② 高い医療水準の維持 JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の監査合格施設として、専門の医師と胚培養士が精密な治療体制を確立。過去の採卵データやホルモン値を詳細に分析し、型通りではない個別の卵巣刺激プロトコルをご提案します。難度の高い症例であっても、培養室の高度な環境と連携して胚発育の最大化を図ります。
③ 心に寄り添う医療の実践 「また採卵数が少なかったらどうしよう」という不安は、治療を継続する上で大きなプレッシャーとなります。当院では医師・看護師だけでなく、心理カウンセラーも在籍しており、過去の治療結果に対する落胆や、次のステップへの迷いについていつでも相談できる環境を整えています。
今回は「サプリメントは本当に卵子の質を上げるのか?」という疑問について解説しました。
現時点では、特定のサプリメントを摂取することで、すべての方の卵子の質が改善すると断言できる科学的根拠はありません。一方で、不足している栄養素を補い、妊娠に向けた身体の状態を整えるという意味では、サプリメントが役立つ場合があります。
大切なのは、「卵子の質を上げる」という情報だけにとらわれず、ご自身の年齢や栄養状態、卵巣機能、治療状況に合わせて考えることです。
当院では、患者さま一人ひとりの状態を踏まえながら、妊娠に向けて必要な検査や治療をご提案しています。サプリメントや日々の生活について気になることがあれば、治療とあわせてご相談ください。